2024年4月号

特集/ときめきのプリン&愛しのシュークリーム

どうぶつと過ごす休日(9)「コマちゃんインタビュー」

ムサシコマ、通称コマちゃん。体重は900kg弱、現役時代には最大1,070kg近くあったことも。カメラを向けると、カメラ目線で応じてくれる
「コマちゃんについて教えてください!」
「えーー照れるなぁ」

 「街の中心地を馬が歩いている!?」とコマちゃんの周りには人が集まり、まさに帯広のアイドルです。意外と知られていないコマちゃんの歴史や生活など馬車BARを運営する十勝シティデザインの永田剛さんに聞きました。

2階席から見える立派なお尻。プリプリしながら馬車を引く姿がかわいらしい

馬の顔を覆う馬具「メンコ」でおめかし。道内外にファンも多く、手作りの花や帽子の髪飾りが届く


本名は「ムサシコマ」
 2012年5月19日生まれの11歳。鹿毛(かげ)に額からの白斑(はくはん)模様が美しいオス馬です。性格は、大人しく人懐こい。2014年〜18年の10月頃まで競走馬として帯広競馬場で活躍していました。その後19年4月から「馬車BAR」で働いています。頭をなでたり、北の屋台前で休憩している時に大好物のニンジンをもらうと喜びます。

馬車BARとの出合いと苦労
 2018年9月に「馬車ならいい馬がいる」と紹介されたのが当時まだ現役の競走馬だったコマちゃん。優しく人懐こい性格は、観光客を迎え入れるのにまさに適任でした。 

 競走馬との違いは、公道で馬車を引いて歩くこと。コマちゃんはにぎやかな街、ソリとは違う馬車の扱いに苦労していました。最初は早朝の帯広競馬場で何度も馬車を引く訓練をし、その後実際に公道へ。初めての自動車、交差点などに戸惑っていましたが、信号のタイミング、右左折時の内輪差など感覚を身に着けました。

普段の生活と今後の展望
 普段は十勝ヒルズでのんびりと暮らしています。基本的に小屋の中にいることが多いですが、外に出て走り回ったり、観光客との触れ合いも大歓迎です。夕方には通勤用のトラックで市街地に向かいます。

 現在は1頭なので週に4回の営業と限られますが、今後仲間が増えたらいいなと思っています。今より「馬車BAR」が認知され、帯広のシンボルになれたらうれしいです。

ばんえい十勝で活躍した現役時代のムサシコマ


<馬車BARについて>
 「馬が闊歩(かっぽ)する街を」と観光プログラムとして2019年から運行を開始。JR帯広駅から徒歩3分の中心市街地にあるHOTEL&CAFE NUPKAを発着地点に、約2kmのコースを50分ほどで巡る。車内では、地元素材のクラフトビールやおつまみをお供に、夜の中心市街地を馬車から眺める非日常体験ができる。


<HOTEL&CAFE NUPKA>
帯広市西2条南10丁目20-3
Tel:0155・20・2600

<馬車BAR>
営:毎週月・火・金・土曜
時:(1)18時 (2)19時 (3)20時
料:3,300円


※フリーマガジン「Chai」2023年6月号より。
※撮影/辰巳勲。写真の無断転用は禁じます。