2024年4月号

特集/ときめきのプリン&愛しのシュークリーム

パン愛で、パンパン(12)「おさらいしよう!十勝の小麦」

 十勝は小麦の一大生産地と言われるけれど、知らないことも多いのでは? 十勝の小麦事情を、北海道十勝総合振興局の田中力さんに教えてもらいました!


なぜ十勝は小麦の生産が多いのか
 日高山脈や大雪山系、太平洋に接する十勝地方は、降水量が少なく冷涼で湿度の低い気候。乾燥を好む小麦にとって、適した栽培環境だ。毎年安定した生産を続けるため、栽培する作物を周期的に変える農業手法「輪作(りんさく)」が行えるのも大きな理由として挙げられる。豆、ジャガイモ、てん菜などをローテーションで栽培することで土の栄養バランスが取れ、作物の病気を防ぐことができるため、小麦も安定して大量生産が可能。しかし、小麦の品種によっても最適な土壌が異なる。地元農家の地道な研究と努力が安定した生産を支えている。


十勝で栽培している代表的な品種
きたほなみ
 中力粉。うどんや菓子など幅広い用途に使うことができる。病気に強く収穫量が多い。「ゆめちから」とブレンドさせるとモチモチとした食感のパンになる。

ゆめちから
 超強力粉。強力粉の中でも最も高タンパクで弾力が強い。シンプルな味で主に食パンに向く。「きたほなみ」などの中力小麦粉とブレンドして、ラーメンにも。

はるきらり
 準強力粉。生地がまとまりやすく、もっちりとした食感とあっさりとした甘みが特徴。小麦の味が出やすいためハード系パンにお薦め。

キタノカオリ
 強力粉。甘みが強く高タンパクなため、パンがモチモチに仕上がる。穏やかな風味で素材の味を生かしてくれるためバゲットなどにも。

北海道十勝総合振興局 産業振興部 農務課 農産係長 田中力さん
 十勝の小麦作りは、畑を耕し栽培する生産者、小麦を粉に加工する製粉事業者やパン屋、そしてパンを食べる消費者など、この地域に集う多くの人々の「思い」と「つながり」のもとに成り立っています。私たちの住む地域で作られた小麦で作るおいしい「十勝のパン」を食べることを通じて、これからも十勝の農業や小麦づくりを一緒に応援してください。


※取材協力・資料参照 北海道十勝総合振興局産業振興部農務課、十勝の食卓(http://agricenter-obihiro.jp/food/)、農林水産省 北海道農政事務所(令和4年3月31日公表)

※フリーマガジン「Chai」2022年10月号より。
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