個性いろいろ、十勝のワイン(3)「十勝のワイナリーめぐり~めむろワイナリー、十勝まきばの家ワイナリー」
04.芽室町 めむろワイナリー
畑の個性を追求するワインづくり
「ブドウの品質を超えるワインをつくることはできない」。めむろワイナリーでは、生産者と醸造家ともにこの言葉を胸に刻み、日々ワインと向き合っている。
町内6軒の畑作農家が、山幸や清見、ヨーロッパ品種などそれぞれの畑に適した醸造用ブドウを栽培。同じ品種でも圃場(ほじょう)が遠く離れていると味わいも千差万別。ブドウの個性を生かしたワインをつくろうと「畑ごとのワインづくり」が始まった。醸造責任者の尾原基記さんが、農家ごとに風味や味わいのイメージを聞き取り、形にする。
農園と品種ごとに数種類の酵母を使い分けて発酵。そのため、醸造所には11種類の大小異なる大きさの醸造タンクが42本並んでいるのも特徴的だ。「醸造の工程は減点法。どんなに良いブドウができても、雑な作業をすると一気に品質が落ちる。上質なブドウのままワインもつくりたい」と尾原さん。
「各農園にファンがいる」というほど生産者と畑の個性が生きたワインづくり。農家も醸造家も同じ志を胸に、挑戦し続けていく。
芽室町中美生2線44-3
Tel:0155・65・2077
SHOP/工場見学通路10時~16時
休:土・日曜、祝日
■購入できる場所/直営ショップ、オンラインショップ、セブンイレブン芽室東4条2丁目店など
shop
05.池田町 十勝まきばの家ワイナリー
ワインと共に発信する地元の魅力
コテージにレストラン、ワイン樽サウナやキャンプ場などが一体となった複合型リゾート施設「十勝まきばの家」。同施設内に2021年9月、ワイナリーが誕生した。元々2014年から試験的にブドウの栽培を開始。「池田はワインが有名で、なおかつ私たちは農業の経験もある。地域の存在感を示すためにもブドウ栽培は必然的だったのかもしれない」と代表の林秀康さん。
ワインの醸造に携わるのは、十勝ワインでは所長を務めたレジェンド的存在の中林司さんと内藤彰彦さんの2人だ。「小さいワイナリーだからこそ、自分たちのペースで作りたいワインが作れる。醸造家が2人いるのが強み」。昨年には、十勝で初めて赤ワイン用のブドウ「清見」で醸造した白ワイン〈清見ブラン〉をリリース。2人の経験値のかけ算が生む革新的アイデアに注目が集まる。
ワインを飲めない人には無添加のブドウジュースもぜひ。清見、清舞、山幸それぞれの果汁100%。味わいや香りはそのままで、品種の違いを楽しめると大好評だ。宿泊しながら心ゆくまでワインを堪能できるのもここならではの楽しみ方。日常を忘れて特別なひと時を過ごそう。

今年7月25日にリリースしたばかりのワイン。右から〈清舞 樽熟〉、〈山幸 樽熟〉750ml 各3,740円、375ml 2,030円、〈清見 セミスパークリング〉750ml3,300円、375ml 1,810円、〈山舞 セミスパークリング〉750ml 3,080円、375ml 1,630円
池田町清見144-1
Tel:015・572・6000
営:9時~18時
休:水曜(GW、夏休み期間を除く)
■購入できる場所/直営ショップ、ハピオ木野(音更)、久楽屋(帯広)、オンラインショップなど
shop
おさえておきたい!
ワイン用ブドウの品種
世界には多種多様なワイン用ブドウが存在します。まずは基本品種を抑えて、ワインの世界を広げよう。
赤ワイン カベルネ・ソーヴィニヨン
最も有名な品種。他の品種と比べて色が濃く、タンニン※も多いため、長期間熟成することで豊かな香りと複雑味が加わる。渋み、果実味が強く、余韻が後を引く。
※タンニン:ポリフェノールの一種。渋みの元となる成分
赤ワイン メルロ
果粒が大きく皮は薄いためタンニンがきめ細かく、まろやかなワインが仕上がる。カベルネ・ソーヴィニヨンとブレンドされることも多く、酸味や渋みを柔らかくして熟成を早める効果も。
赤ワイン ピノ・ノワール
口当たりは穏やかでソフトなタッチ。果実味が豊かな一方で酸味が強く、ドライな印象に。わずかな気候変動に敏感で、産地の個性が味に反映されやすく、栽培が難しい。
白ワイン シャルドネ
果実味が豊かで酸味は比較的柔らか。気候や土壌によってさまざまなフレーバーに変わり、世界中で栽培している。白ワインの中ではトップの人気を誇る。
白ワイン ソーヴィニヨン・ブラン
シャープな酸味と爽やかな後味。ブドウの成熟度が高くなると果実味が上がる。熟成することでまったりとした余韻が広がる。シャルドネに次ぐ人気品種の一つ。
白ワイン リースリング
辛口だとタイトで鋭く酸味が立ち、甘口だとフルーティーで甘酸っぱい印象に。ドイツではアイスワインなどの甘口ワインに使われることも多く、糖度が高いほど品質の格が上がる。
参考文献/基本を知ればもっとおいしい! ワインを楽しむ教科書(ナツメ社)大西タカユキ監修
※フリーマガジン「Chai」2025年9月号より。
※撮影/平栗玲香、清田千裕。写真の無断転用は禁じます。
個性いろいろ 十勝のワイン
管内で新しいワイナリーがオープンし、改めて十勝のワインに注目が集まっています。各施設の歴史や食事とのペアリングなど、飲んで応援したくなる、地元ワインの魅力をご紹介。