2024年4月号

特集/ときめきのプリン&愛しのシュークリーム

日高を東へ十勝を南へ~自然を感じて 日勝半島(11)日高山脈襟裳国定公園

日高山脈襟裳国定公園、「国立公園」へ
 日勝半島でもなじみ深い「日高山脈」。山脈を含む「日高山脈襟裳国定公園」は早ければ、2021年度末に国立公園に格上げされる予定だ。国立化は長年、要望を続けてきた十勝の関係者や地域の人々にとって、うれしいニュース。 どんな国立公園になるのか―。目指す公園像などを聞いた。

<教えてくれた人>
誇りある環境を、地域の皆さんと一緒に守っていきます
環境省 帯広自然保護官事務所 自然保護官 山北育実さん

 愛知県出身。長野県などで自然保護官を務め、2009年から4年間、上士幌自然保護官事務所の自然保護官を担った。現在は「日高―」の国立公園化にまつわる各所の調整に奔走。自然環境の現状・保全管理などの調査、シマフクロウやタンチョウといった希少種の保護・増殖に関わる仕事も担当する。


保護と利用、地域と共に方向性探る
 国立公園の中でも、「日高―」は原生性の高い公園です。見て、利用して楽しむところと、自然をしっかり守っていくところの区分けが必要で、現在はその保護と利用の調整を進めています。そのためには現地を歩いて、そして各市町村や地域の皆さんと一緒に、貴重な環境をどう守っていくか、どう利用していくか、方向性を考えることが大切です。十勝・日高の皆さんにとっては、「心のふるさと」でもある日高山脈。誇りに思い、そして共に守る共通認識を少しずつ作れたらと考えます。

<日高山脈襟裳国定公園>
 日高山脈、広尾町から襟裳岬にかけての海岸線、アポイ岳とその3つの地区で構成される自然公園。1981(昭和56)年に指定された。総面積は10万3,447haで、国定公園としては日本最大。十勝管内は6市町村、日高管内は7町にまたがる。

<「国定公園」と「国立公園」の違い>


国立公園…日本を代表、また世界に誇れる傑出した自然風景地で、国が指定して保護・管理する自然公園。全国で34カ所、道内は大雪国立公園など6つ。
国定公園…国立公園に準じる景勝地として、自然公園法に基づいて環境大臣が指定した公園。都道府県が管理する。

<「日高―」はここが評価ポイント>
(1)襟裳岬まで続く南北100km以上に及ぶ長大な連峰景観を持つ大起伏山地である。
(2)道内唯一のカール(氷河の浸食でできた椀状の地形)等の氷河地形を持ち、原生的な自然も広範囲で残っている。
(3)ナキウサギやヒメチャマダラセセリなどの氷河期遺存種、その他固有種である動植物も多数生育する。

取材協力/帯広自然保護官事務所 帯広市西17条北3丁目13-12
Tel:0155・34・5500

盛り上げよう! 国立公園化
 国立公園化の気運を盛り上げようと、帯広、清水、芽室、中札内、大樹、広尾の6市町村で構成する「日高山脈国立公園化推進事業実行委員会」では昨年、日高山脈をテーマにした写真コンテストを実施。3月には、日本郵政北海道支社の協力で、その作品を活用したオリジナル切手も販売された。7月1日からは日高山脈がきれいに見える18の指定スポットを巡る「日高山脈フォトラリー」(11月30日まで)を開催中。楽しみながら、自然の魅力を再発見しよう!

写真コンテストの作品は管内で巡回展示した(2020年12月26日付 十勝毎日新聞より)


<問い合わせ>
日高山脈国立公園化推進事業実行委員会
帯広市都市環境部環境室環境課
Tel:0155・65・4136

フォトラリーの詳細はこちら!

※フリーマガジン「Chai」2021年8月号より。
※撮影/辻博希。写真の無断転用は禁じます。

日高を東へ十勝を南へ~自然を感じて 日勝半島

 「日勝半島」って知っていますか? 十勝南部と日高東部を指す新しい言葉で、日高山脈や海岸線が育む、豊かな自然が残ります。日高山脈を含むこのエリアの多くはちょうど、「日高山脈襟裳国定公園」の国立公園化に向けて、その生態系に注目が高まっている最中。日高を東へ、十勝を南へ―。改めてその自然の魅力を写真で切り取りました。

日高を東へ十勝を南へ~自然を感じて 日勝半島(11)日高山脈襟裳国定公園

日高を東へ十勝を南へ~自然を感じて 日勝半島(10)大樹町

日高を東へ十勝を南へ~自然を感じて 日勝半島(9)広尾町

日高を東へ十勝を南へ~自然を感じて 日勝半島(8)更別村

日高を東へ十勝を南へ~自然を感じて 日勝半島(7)中札内村

日高を東へ十勝を南へ~自然を感じて 日勝半島(6)帯広市