2024年4月号

特集/ときめきのプリン&愛しのシュークリーム

オシャレ大好き(8)「fashion is power さまざまなファッションのカタチ~帯広発のファッションショー『パラコレ』、出張理美容サービスVESS、髪花堂」

2023年11月に開催されたパラコレクション。パラコレモデルは観客から大きな拍手を受け、堂々とランウエーを移動した

 おしゃれは、特定の人だけのものではありません。闘病中でも体が不自由でも楽しめる、イベントや店を紹介。

おしゃれは自信の源
帯広発のファッションショー「パラコレ」

para collection
 これからはパリコレではなく、パラコレの時代?心や体に障がいを持つ人がモデルを務めるファッションショー「パラコレ」は、帯広発祥のイベント。NPO法人日本理美容福祉協会帯広センター代表・森田浩幸さんの発案で2021年から始まった。十勝で行われた最新のショーは、2023年11月、ベルクラシック帯広で開催。「結婚披露宴」をテーマに、20〜90代のモデルが舞台に登場して会場を盛り上げた。

 ボランティアで訪問理美容に携わったことを機に医療について学び、現役の看護師・理美容師としても活躍する森田さん。今後の目標は「イベントの知名度を上げ、パラコレモデルの発言力を高める」ことだ。「きれいな服を着て髪もキマっていると自信が付く。おしゃれは勇気をくれるんです」

 パラコレは日本各地で共感を呼び、2023年12月には愛知県で開かれ、和歌山県や滋賀県での開催も予定されている。障がいの有無を気にせず、普通の幸せを感じられる社会を―。十勝から始まった小さな一歩は、全国へ広がりを見せている。

森田さんに賛同した美容師や帯広コア専門学校の生徒たちがボランティアで参加。舞台の裏で奔走し、ショーの成功に貢献した

パラコレで車いすを利用する人が着用したウエディングドレス。色柄は豊富で、脱ぎ着しやすい仕様になっている

アロハシャツがトレードマークの森田さん。「パラコレクション」を商標登録し、全国のパラコレで監修を務める。自らモデルをスカウトし、車いすの人へ着付けも行う


問い合わせ先:森田さん(Tel:090・1386・6311)



“キレイ”の力が笑顔を運ぶ
出張理美容サービスVESS(ベス)

 VESSは病院や福祉施設をはじめ、自宅療養中の人へ向けた出張理美容サービスの店として1998年にスタート。所属する理美容師全員が、福祉や医療の知識を有する「ハートフル美容師」や「上級訪問美容師」の資格を所持している。メイクやエステなどの専門家も参加しており、幅広いニーズに応えられるのが強みだ。

 心身に障がいがある人へのヘアメイクや着付けも好評。花嫁・花婿だけでなく、体が不自由な親族からの需要も高まっている。代表の長岡行子さんは「『目の前の人の思いに応えていけたら』と、ここまで来た。優しさを大切に続けていきたい」とほほ笑む。技術とともに思いやりの心も届けている。

出張理容サービスでひげをそる利用者。帯広市の場合、高齢者・身体障がい者用の理美容チケットを利用すれば、無料で散髪ができる(出張費や、ひげそり、パーマなどの料金は別途必要)

重度心身障がい者施設で、成人の祝いの支度をしている様子。無理のない姿勢で、ヘアメイクから着付けまでを行う

車いすを利用する人の結婚式。VESSのメンバーが会場まで足を運び、花嫁や親族の希望をかなえてくれる

「髪を切ってスッキリすると利用者さんの表情が明るくなる。どんなことでも気軽に相談してほしい」と長岡さん


帯広市西18条南4丁目5-16 
Tel:0155・38・3558
※来店前に必ず電話予約を



ウィッグの相談は、髪の専門家におまかせ!
髪花堂(はっかどう)

 「美容室なのにウィッグ店と間違える人がいるほど、取り扱い数はどこにも負けない」と力強く話すのは店主の松浦治さん。1993年に美容室として創業。約10年前から、ウィッグの販売を開始した。加齢や遺伝による薄毛、抗がん剤治療による脱毛などの悩みを抱える客が店を訪れる。 

 その場で欲しいとの利用者の声に応えるため常時100台以上のウィッグが棚を埋める。美容師の資格を持つ松浦さんが客の意向をくみ、似合う商品を提案。手入れ方法なども細かく教示する。

 「どこで誰に相談すべきか分からない」。そんな不安を持つ人へ救いの手を差し伸べたい。松浦さんのウィッグへの情熱は増すばかりだ。

「必要としている人に届けることで、少しでも気持ちが明るくなってくれたら」と店主の松浦さん

価格は5万~20万前後。毎月商品を入れ替えるため、はやりの髪色や髪形を楽しめる

専用の〈シャンプーとトリートメント〉各1,500円。相談や購入は来店前に電話予約を

管内を対象にウィッグの配達サービスを行う


帯広市西23条南3丁目28-6 メイプル233 1F
Tel:0155・66・9290(ウィッグ専用ダイヤル)
営:9時30分~17時頃
休:火曜、第3月曜

※フリーマガジン「Chai」2024年2月号より。
※撮影/辰巳勲。写真の無断転用は禁じます。