2024年4月号

特集/ときめきのプリン&愛しのシュークリーム

てくてく名店さんぽ(49)「菊屋楽器店」

演奏する人のシーンやレベルに合わせて、適切な楽器の提案を行う。「常に課題と向き合う仕事ですが、多くの人に頼られる家業に誇りを感じます」と、店主の酒井さん

十勝で和楽器を始めるなら
 日本人なら理屈抜きで心に染みる、琴や三味線の音色。しかしピアノやギターなどの洋楽器に比べ、和楽器に親しむ機会は少ない。日常と縁遠い和楽器を身近なものへといざなってくれるのが、1942(昭和17)年に帯広市で開店した菊屋楽器店。十勝では珍しい和楽器専門店で、ベテラン奏者から初心者まで多彩なニーズに対応する。

 四代目代表の酒井保行さんは、問屋での修業や先代・功さんの指導を通じ、和楽器の修理法や目利きの腕を習得。「多くの和楽器は仕組みや音階がシンプルで、江戸時代でほぼ現在の形が確立されたといわれています。しかしだからこそ、演奏や修復が難しいともいえますね」と酒井さん。それだけに耳の肥えた常連が仕上がりをほめてくれた時には、喜びもひとしおなのだとか。

 十勝にはコロナ禍を機に和楽器を手にしたビギナーや合奏を楽しむ愛好者も多く、実は今が始めどき。同店なら新品や手ごろな中古品を用意するだけでなく、教室の紹介も可能だ。季節は芸術の秋、新たな興味の扉を開いてみては―。

日本舞踊など、和の稽古事に必要な小物も販売。色とりどりの扇子は2,000円代~

尺八は長くなるほど低い音が出て、短いほど高い音が出る。歌い手や曲によって数種類を使い分けることも


<菊屋楽器店>
帯広市東3条南13丁目1
Tel:0155・23・4881
営:10時~17時30分
休:日曜、祝日

てくてく名店さんぽ
帯広や十勝の町の名店を紹介する、Chaiの連載です。

※フリーマガジン「Chai」2023年10月号より。
※撮影/鎌田廉平。写真の無断転用は禁じます。