2024年4月号

特集/ときめきのプリン&愛しのシュークリーム

Chai法律相談(168)「判断能力が低下する前に、賃貸不動産の管理を長男に任せたい」

【質問】 
 私は高齢のため、所有する賃貸不動産の管理に負担を感じています。将来、判断能力が低下した場合、建物の修繕、ローンの借換、賃貸借契約の更新や新規締結ができなくなることを心配しています。金融機関も、私が高齢のため、新規の融資に難色を示しています。今のうちから不動産の管理を長男に任せたいと考えていますが、よい方法はあるでしょうか。

【回答】
民事信託により、オーダーメイドな契約を締結する方法があります。

 自分自身を委託者兼受益者、長男を受託者とする信託契約を締結する方法があります。長男を受託者として賃貸不動産の管理を任せ、自分自身は受益者として、存命中、賃料収入を得ることができます。

 賃貸不動産の所有権は受託者である長男に移転するため、受託者である長男が債務者となって、金融機関から借り入れができるようになります。金融機関の承諾のもと、自分自身の債務を長男に引き受けてもらうことも可能であり、事業承継方法としても有効です。

 成年後見の制度は、自分自身の判断能力が無くなってから、家庭裁判所の監督のもと、後見人が基本的に自分自身の財産を維持していく方向で管理する方法です。

 これに対し、民事信託は、自分自身の判断能力があるうちに、自分の財産をどのように管理してほしいか、将来どのような施設で生活をしたいかなど、具体的に指定できます。積極的に自分自身の財産を運用できるメリットがあります。

今回の回答にご協力いただいたのは
[武部雅充 弁護士]

事務所/帯広市東7条南9丁目16 
Tel:0155・20・3233


※質問・回答はChai編集部の責任でまとめています。

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十勝管内の弁護士が法的トラブルについて答えてくれるChaiの連載です。

※フリーマガジン「Chai」2022年12月号より。